一眼レフと少年たち。
「ギラファ!ギラファしっとー!?あとね!○△&%やろ!#%×@やろ!」
お盆休み中。
ドライブついでにいきつけのアクアショップに寄った所、
近所からクワガタを買いに来ていた二人の少年に出会った。
二人は一方的なクワガタの話をしたあと、僕と友人バハーラが持っていた一眼レフに興味津々。
「それでなん撮ると?」
しげしげとカメラを見る姿が面白くて、
僕とバハーラは二人にそれぞれ一台ずつ、おそるおそるカメラを渡す。
ちゃんとストラップを首にかけて、ここでシャッターを切って…と教えると目がきらっきら。
「レンズぶつけんようにね」
二人は自分たちの自慢のクワガタを引っ張りだして、ひたすらシャッターを切る。
どんな写真が撮れたかはそんなに興味がないご様子。
ただひたすらにシャッターを切る事が楽しくてたまらないという感じ。
「ねー!これで魚撮っていい?」
「うん、でもそれは店長にお願いしようね」
「魚撮っていいですか!?」
「いいっすよ〜笑」
さすがに素早く動き回る魚の写真はブレブレでまともな写真はなかったけど、
僕のカメラに増えた100枚以上のデータの中には、
上の3枚の写真の他にも、とても自然体でいい写真がたくさんあった。
「今夏休み?」
「そう!大人って夏休みないっちゃろ!?」
「・・・」
二人とも人懐っこくて元気で汗でベタベタで声が大きくて、なんか懐かしかった。
彼らと同じ小学3年生の頃の僕はクワガタにも詳しくなかったし、あんなに人なつっこくもなかった。
夏休みの間は、なぜか引き受けてしまったクラスのヘチマの成長日記を付けるため、毎日学校へ赴いていた。
「じゃあまたね。お父さんたちにカメラ欲しいってねだっちゃダメよ」
最後に少年たちにそう告げたバハーラは、哀愁漂う立派なおっさんだった。